ブランドとは何か? 〜その方法と実践について〜
- 2020/09/22 7:00:11

さて、現在世界はコロナ禍の中で様々な領域の動態変化が起きていますが、
人類の歴史を振り返ると、人間は幾多の問題を不断の努力で科学や医学、経済などを発展させて、
環境に順応しながら乗り越え、創意工夫しながら文明文化を築いてきました。
この難局もきっと人間の叡智で乗り越えられると信じます!
マスク着用、手洗いうがいの励行、身近にできる感染予防をしながらこの難局を皆で乗り越えていきましょう!
さて、今回から筆者のブログは「ブランドとは何か?」を題材にその方法と実践を探っていきます!
少しでもこの情報が皆様のお役に立てると幸いです。
公開日:2020/9/22
最終更新日:2020/11/24
はじめに
コロナの影響によりあらゆる領域で事業の再編や新たなサービスの軸作りなどが起こっており、
「ブランドの再定義」も求められています。
このブログではブランドの成り立ちからブランドの構築まで、実践的にも活用できる網羅的な内容を
目指します。
それでは始めていきます!
大量生産、大量消費の時代はモノを作れば売れる時代でした。モノが行き渡るようになり、生活者がモノを選択できる時代になると「マーケティング」という概念が生まれました。
マーケティングの概念は有名なものとして以下の3つがあげられます。
1. アメリカマーケティング協会の定義
マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。
2. ピーター・ドラッカーの定義
マーケティングの目的はセリング(単純販売活動)をなくすことである。
3. フィリップ・コトラーの定義
マーケティングとは社会活動のプロセスである。その中で個人やグループは、価値ある製品やサービスを作り出し、提供し、他社と自由に交換することによって、必要なものや欲するものを手に入れる。
マーケティングは顧客や見込み客に自社製品、自社サービスの有用性を伝えるために、競合との差別化ポイントを明確にし、ニーズ等を分析しながらいかに自社製品が競合他社より優れているかを競う活動ともいえます。
しかし、さらに時代が進み情報化社会が到来すると、競争の激化が進み、画期的な商品も短期間でコモディティ化する、「差別化」そのものが難しい時代になりました。機能的な差別化要素がない場合に
生活者は何を購買の意思決定要因にしているのでしょうか?
ここで登場するのが「ブランド」というキーワードです。
そして生活者の購買決定に結びつくニーズや心象の体系とそれらを作り上げるための経営活動全般を
「ブランディング」と呼びます。
黙っていてもモノが売れる時代から生活者の選択の幅が広がる中で売れ続ける仕組みを構築していかなければいけない時代に、ブランディングはとても重要なものになっていきます。
本ブログではこのブランドという概念を様々なマーケティング要素と絡めながら1から構築する
ステップをご紹介していきます。
2. ブランドとはなにか?その概要を定義する
この項では本ブログにおけるブランドの定義を定めていきたいと思います。
ブランドの定義に関しては、非常に多くの見解や考え方、捉え方、フレームワークなどがあり、
様々な書籍も出版されています。
ここではアメリカ・マーケティング協会によるブランドの定義とブランド・バリュー協会によるブランドの定義をご紹介します。
アメリカ・マーケティング協会によるブランドの定義
ブランドとは「ある売り手、あるいは売り手の集団の製品およびサービスを識別し、競合他社の製品およびサービスと差別化することを意図した名称、言葉、サイン、シンボル、デザイン、あるいはその組み合わせ」
ブランド・バリュー協会によるブランドの定義
ブランドとは生活者の視点から見たときに、ある特定の商品、サービスとして識別され想起を起こす現象である。
この概念以外にも実に様々なブランド定義がありますが、筆者はブランド・バリュー協会のブランド・クリエイターでもある為、本ブログにおいてのブランド定義はこちらの概念をより強く踏襲し、ご説明していきます。
商品・サービス(プロモーション含む)と接するあらゆる機会を経て、生活者の心の中に立ち上がるものが、その商品・サービスのブランド・イメージ(Brand Imaeg)です。
ある生活者が何らかの購買ニーズを抱いたときに真っ先に想起される商品・サービスはその生活者に対してブランドを確立していると言えます。
このように購買ニーズが発生したときに特定の商品やサービスを連想させ購買決定に影響を及ぼす力を持つものがブランドであり、生活者の購買行動に影響を及ぼすことを意図してブランド構築を行うことをブランド戦略と言います。
また、そのブランドの価値を高める活動を継続して行うことを特にブランド・バリュー戦略と呼びます。
企業側からみた「ブランド」とは、製品・サービスそのものであり、またその製品・サービスを競合製品と識別、差別化を意図した要素の集まりのことです。同じブランドであっても企業側からみたブランドイメージと生活者からみたブランドイメージがずれてしまっていては、意図的なブランドの構築ができているとは言えません。
ブランド・マネージャーは、自社のブランドを顧客にどのように捉えて欲しいのか、ブランド・アイデンティティ(Brand Identity)を明確にし、そのプロセスを設計・管理する必要があります。
ブランドは競合他社の製品・サービスと識別し差別化するために使用されます。
この「識別」と「差別化」の違いは重要です。
企業側にとっては「識別」だけではなく「差別化」が可能になってはじめてブランドとしての意味を持つからです。
この目的のために製品・サービスに(物理的なものだけでなく)付与される名称やデザインなどのあらゆる要素を「ブランド要素(Brand Element)」と呼びます。
「識別」は単に区別ができるということですが、「差別化」というのは「他の競合他社の製品・サービスと明らかに違う優位性・唯一性」が存在するということで、この違いにより生活者の購買決定を左右する力を持つという事です。この時、生活者の購買決定を左右する力を持たないのであれば、それは正しい意味での優位性・唯一性ではありません。差別化の手法は「ブランド確立」以外にも「機能・品質の差別化」や「高付加価値のサービス」など様々ですが、差別化に失敗した場合は価格競争に巻き込まれる危険性が高まります。差別化が難しい日用品などのコモディティアイテムの場合はブランドを確立することで差別化を図ることができます。
3. 資産としてのブランド
下図は「ブランドエクイティ戦略」デービッド・A. アーカー (著)から抜粋したものです。
4. ブランドの歴史
そもそもブランドという概念はどこから来たのでしょうか?
これは放牧している家畜が他人の所有物と紛れてしまわないように、自らの所有物であることを示す「焼印」を押す風習から来たものと一般的には言われています。
英語の「brand」にはこの「焼印」という意味があり、「焼印をつける」ことを意味する「brandr」という古ノルド語から派生したものだと言われています。また、中世ヨーロッパのギルド社会では生産者を識別し、信用のための出所表示としての商標を義務付けていました。このようにブランドとは古来より、生産者が他の生産者の製品と区別するための手段であったことが伺い知れます。
しかし、焼印は単に自分の所有物であることを示し、また中世の商標は生産者を識別する機能だけを有していることに限定されると、これはこんにちで言われている「ブランド」とは別のものであります。
こんにちの「ブランド」とは単に所有権の主張や生産者の識別のためのものではなく、競合との差別化を図り生活者の購買決定に影響を与えることを意図するものとして存在しています。
現代では、生産構造、流通の発展により生活者の購買選択権は飛躍的に拡大しましたが、同時に生活者が購買決定のさいに利用できる情報が飛躍的に増大したわけではなく、購買決定は却って難しくなりました。そのため、生活者はブランドが信頼できるものかどうかで購買決定する傾向が強まり、ブランドの認知という面では地方の中小メーカーは大手メーカーのブランド訴求力に太刀打ちできず、淘汰される傾向にもあります。
5. ブランドを守る
ブランド要素の多くは法律で保護の対象となります。ブランドを管理するためには、自社のブランド要素が他社によって不正に利用されていないかどうか、常に監視する必要があります。その方法をみていきましょう。
商標:商標登録することによって効力を発揮します。自社の商品・サービスと他社のそれとを識別するための標識。
商号:会社の名称。同一営業所で同一の営業については複数の商号を持つことはできません。類似商号の規制は現在廃止されていて、不正競争防止法を適用します。
意匠:デザインのこと。意匠登録することで効力を発揮します。
一般的に商標を明記する際に使用される記号には、™️(trade mark)、®︎(registered trademark)などがありますが、日本の法律で定められているのは「登録商標」という表記のみであり、「™️」「®︎」などは慣習として使用されています。施行規則第17条によれば「登録商標」と表示するよう務めなければならないと定められていますが、表示しなくても罰則はありません。権利が取得されていない名称に®︎の表示を付すと虚偽表示(第74条)とされる恐れがあります。
企業間の公正な競争な実施を確保するため不正競争防止法が定められています。代表的な不正競争行為の類型として次のようなものが挙げられる。
・周知表示混同惹起行為
・著名表示冒用行為
・商品携帯模倣行為
・原産地等誤認惹起行為
・代理人等商標無断使用行為
6. ブランドの種類
一般的に「ブランド」と言われると、商品やサービスとしての「ブランド」をイメージする事が多いかも知れませんが、ブランドの対象範囲は実に多く、商品、サービス以外にも組織、人、場所や特産品などもブランドの種類として位置づけられます。
ブランド戦略とは、上図のような様々なブランド領域において、競合する他製品と差別化するためにブランド要素を管理し、一貫したブランドイメージを構築し、それを維持していく活動全般の事を指します。
7. ブランドの仕組み
続いてブランドの仕組みについて見ていきましょう。下図を見ながらご説明いたします。
ブランドイメージとブランド認知
生活者はブランドをどのように認知し、記憶し、想起するのでしょうか?
ブランドを想起するプロセスは概ね以下の2通りで説明される事が多いです。
ブランド再認:ブランド要素に接したさいにブランドを思い出すこと。
※ブランド要素とはブランドネーム、ロゴマーク、キャッチコピー、キャラクター、色などを指す
ブランド再生:ニーズが発生したさいに、ブランドを思い起こすこと。
※ニーズが発生したさい、そのニーズから様々な連想が想起される
どちらのプロセスを経るにしても、その前提として生活者がブランドに対する知識を持っていることが必須となります。
ブランド再認の場合
ブランド要素に触れたときにブランドを想起するには、ブランドに対する認知がすでにあり、それと接した際にブランド要素を認識している必要があります。
ブランド再生の場合
生活者の心の中でニーズが発生したときにブランドを思い出すには、ニーズが生まれたときにそのブランドを連想する必要があります。
つまり、生活者の心象においてニーズとブランド(この場合は、ブランドに結びついているイメージ群:ブランドイメージ)が連結している必要があるのです。
例をあげますと、お店に行き、あなたはスニッカーズを手に取りました。そこで「お腹が空いたらスニッカーズ!」というキャッチフレーズやジングルを思い浮かべます。これがブランドの再認です。
また、夜残業をしている時に「お腹が空いたな。。何か食べたいな」というニーズが発生したとします。
その時コンビニに行き、スニッカーズを購入したとします。お腹が空いた、というニーズに対して、
「お腹が空いたらスニッカーズ!」というブランド要素を連想し、購入に至りました。
これがブランドの再生です。
また、上図を踏まえたブランドの設計においての留意点を下記に記します。
・どのようなブランドイメージを持たせたいのか=ブランドアイデンティティ
・生活者がそのブランドからどのような連想をするのか=ブランド連想
・期待されるニーズとどのように連結できるか
・連想するイメージ群からニーズとブランドを結ぶ、キーとなる概念は何か?
・競合製品はどのようなブランドイメージを持つか?
こちらは別途詳しく解説していきます。今はざっくり見ていただくだけで大丈夫です!
ブランド認知のプロセス
ブランドのターゲットとなる生活者がブランドを想起するとき、そのブランドは「認知」されていると言えます。
「ブランドを認知する」という状態はブランド再認とブランド再生で成り立つ事を見てきました。
ブランド再認を起こすには、ブランド体験を反復させることが必要で、ブランド再生を向上させるには製品、サービスカテゴリーなどが記憶内の連想で結びついている必要があります。
それらの連想は生活者に「ニーズ」が発生した時、「購買・消費」プロセスの軸からずれてはなりません。
ニーズからブランド再生まで、生活者の頭の中に描かれるブランド連想の集まりを「ブランド・イメージ」と呼びます。
ブランドマネージャーなど、ブランドを創っていくものたちにとって、生活者に意図した通りのブランドイメージ(ブランドアイデンティティとその生活者の個人的な体験や価値観が連想で結びついた状態)を持ってもらうためにコントロールできるのは、ブランド要素とブランド体験だけです。
今回はここまでとなります!
次回は「連想の強さ」「ブランドの要素」「ブランド要素の設計」など、
よりブランド設計の実践に迫っていきます!
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