みなさんも携帯で写真を撮ることは多いと思いますが、普段どんな写真を撮っていますか?
私はネコを飼っているので、出先で見かけたネコ、空や風景を撮ることが多いのですが、
それ以上に歩いている時に見つけた【ポスター】や」【看板】を撮ることが多いです。
我ながら「職業病だな~」と思いますが、デザインの参考になるので
・珍しいレイアウトや見やすいレイアウト
・色の使い方や写真の入れ方
・フォントの種類
など、今まで自分の仕事で使っていないようなデザインがあるとすぐに写真に撮ってしまいます。
そして写真の質もすごく見てしまいます。
画質の良し悪しはもちろんですが、「あ、不自然な合成だな」とか、「この角度じゃない方がいいのにな」など、
余計なお世話とは思いますが一人で勝手に考察しています(笑)。
デザインに使う商品の写真ってどう使い分ける?
ほとんどの飲食店ではポスターやメニューに写真を使用していますが、その写真はどのように使い分けているかご存じですか?
1番は「何を目的に使用する写真なのか」を考えて決めています。
・その商品を正しく知ってもらいたい
・商品のもつイメージを世界観とあわせて伝えたい
この2つの目的だけでも撮り方は変わってきます。
商品を正しく知ってもらう=プロダクトカット
いわゆる「物撮り」といわれる方法ですが、これは商品の色や形、質感を正しく伝えるための撮影です。
商品単体で撮ることが多く、色の正確性を高めるために白バックで撮ります。
また、全体が見えるように斜めの角度から撮影し、
ケーキの場合はカットして断面も撮影する事で、ケーキの具材などが見えるようにします。
↑ こちらは全体を写したカットです。
↑ こちらは断面を写したカットです。
メニューやカタログではどちらのカットも載せているところもあります。
商品のイメージを伝える=イメージカット
プロダクトカットは「説明カット」とも言われるように商品全体を伝える撮影方法ですが、
イメージカットはそのお店、商品が持つイメージを写真で伝える方法です。
↑ こちらはカフェのイメージカットです。
↑ こちらは誕生日をイメージしたカットです。
イメージに合う小道具を用意し、一緒に撮影することでひとつの世界観を表現し、
購入した時のイメージや自分が食べているイメージをお客様に想像してもらうことで、来店や購買につなげます。
ライティングによる商品の魅せ方
プロダクトカットとイメージカットによって、その商品を「どう見せるか」の違いをお話ししましたが、
次は写真の撮り方によって「商品の魅せ方」を変える撮影方法をお話しします。
イメージの違いによって変えるライティング
撮影では照明が大きな役割を果たします。
素人とプロの違いはライティングにあると言っても過言でありません。
例えばお店が「隠れ家的な」「高級感のある」イメージの場合、
その雰囲気を壊すような写真では魅力が半減してしまいます。
そこでライティングは光量を絞って、落ち着いた雰囲気に見えるように撮影します。
逆にお店が「明るく」「気軽な」イメージの場合は、
照明も明るく柔らかい印象を与えるように、自然光の雰囲気で撮影します。
アングルの違いで商品の魅せ方を変える
商品の特徴をよりわかりやすくするためにアングルも大切です。
その商品をどの角度で見せると一番伝わるのか、どう見てもらうことで
お客様の気を惹き入店や購買を促すのかなどを考え、角度を決めて撮影します。
斜め目線
全体を見せるアングルで、一目で商品の全容がわかります。
上に載っている材料や、断面に入っている食材など見てすぐわかるカットです。
商品を真横から撮ることで、商品のボリュームを引き立てるアングルです。
丼ものなど大盛の商品なども量が際立つため、このアングルで撮ることが多いです。
商品を真上から撮影するアングルです。
同じ商品でも上からの目線では違って見えるため、おもしろい写真になったり、オシャレに見せることができます。
特に丸い商品(ラーメンやケーキなど)で使用されることが多く、
一見「なんだろう?」と思わせることで目を惹く写真になります。
実際の撮影風景
ここまで色々な撮影方法についてお話ししてきましたが、
撮影の前にはデザイナーが「こういうデザインで進めるので、こういう写真を撮ってほしい」という【撮影ラフ】を作ります。
その商品をどう見せるのかお客様のご意向をお聞きしながら、商品を一番よく見せるためのイメージを作る作業です。
ここでは一例として夏向けのゼリーの撮影をお見せしますね。
夏向けの商品ということで、全体的に爽やかさ、涼し気な雰囲気を演出します。
1. お客様との打合せの後、仮画像で「撮影ラフ」でのデザインを作成します
2. 撮影ラフを基にスタジオで小道具などを配置して撮影します
3. 仕上がった画像と仮画像を差し替えてデザインを仕上げます
ものすごく簡単な説明ですが、スタジオでイメージカットを撮影する場合はこのようなセットを組み、
画角に入る小道具や商品のアングル、商品のイメージを伝えるライティングなどを細かく調整して撮影します。
この1枚の写真を撮るのに実は2時間かかっています。
商品の色の再現、シズル感をしっかり表現するにはそれだけの時間も手間もかかります。
それだけ撮影はシビアですもありますし、販促物にとって大切なものなんです。
まとめ
長くなってしまいましたが、メニューやポスターなどで使用する写真は、時に口で説明するよりも雄弁に商品を語ります。
どれだけ美味しいお料理でも写真の色が悪かったり、魅力が伝わらない写真だとお客様は頼んでくれません。
よだれが出そうなほどのシズル感、食べてみたいと思わせる雰囲気を伝える写真は、
1枚でとても優秀な営業マンの役割を果たしてくれます!
これからメニューの作成を考えていたり、お店自慢のお料理をもっと頼んでほしいと思っているお店さん。
写真で売上は変わります!
使用する写真撮影の参考になると嬉しいです。
ではまた次回ですっ!