これまでのコラムでは、
第1回で「写真には目的があること」
第2回で「光と影が印象や世界観をつくること」
をお伝えしてきました。
そして今回のテーマは、その続き。
実はプロの仕事は、シャッターを切った瞬間では終わりません。
写真は
「撮る → 仕上げる」
この2つが揃って、はじめて完成します。
目次
- 01 なぜプロは「撮った写真をそのまま使わない」のか
- 02 仕上げで整えるのは「明るさ」より「統一感」
- 03 光と影は「仕上げ」で完成する
- 04 料理だけでなく「店内・空気感」も揃える
- 05 「お客様が撮った写真」をどう考えるか
- 06 まとめ:写真は「設計 → 演出 → 仕上げ」で完成する
なぜプロは「撮った写真をそのまま使わない」のか

照明を全体的にあてると、明るく均一に見えます。
「撮影した写真って、そのまま使えるんじゃないの?」
そう思われる方も多いかもしれません。
でも、プロの現場では
「撮影データ=完成品」ではありません。
撮影時に作った光と影、
意図した雰囲気や立体感を、
最終的に「整えて完成させる工程」が必ず入ります。
これは失敗を直す作業ではなく、
世界観を揃えるための仕上げです。
カメラマンより:
「撮影は設計、仕上げは調整。
音楽でいうなら、録音とミックスみたいな関係ですね。」
仕上げで整えるのは「明るさ」より「統一感」
レタッチというと、
・明るくする
・色を派手にする
というイメージを持たれがちですが、
実際のプロの仕上げはもっと地味です。
たとえば――
- 写真ごとの明るさの差をそろえる
- 料理の赤・茶・白の色味を自然に揃える
- 影の濃さを微調整して写真全体のトーンを統一するこれを行うだけで、メニュー・Web・SNSに並んだときの印象が大きく変わります。
「写真がきれい」よりも、「写真に統一感がある」ことが、
お店のブランディングではとても重要です。
光と影は「仕上げ」で完成する
第2回でお伝えした、光と影の演出。
実はその多くが、仕上げで最終調整されています。

撮影時に作った影が
・少し強すぎる
・逆に弱すぎる
そんなとき、仕上げでほんの少しだけ整えます。
影を消すのではなく、「ちょうどいい影に整える」。
影は被写体の形だけでなく、
時間・季節・温度・お店の空気までも映し出します。
カメラマンより:
「影をいじりすぎると嘘っぽくなる。
でも、ほんの一段階整えるだけで、写真はグッと締まります。」
料理だけでなく「店内・空気感」も揃える

仕上げは、料理写真だけに使われるものではありません。
・カウンターの質感
・木目や壁の色
・照明の温かさ
こうした要素も、
仕上げでトーンを揃えることで「この店らしい空気感」が生まれます。
例えばこの2枚の写真。
このお店のメニューにはどちらが合うと思いますか?

料理写真と店内写真の雰囲気が合っていると、
お客様は無意識に
「居心地が良さそう」
「安心できそう」
と感じます。
仕上げは、「お店の“印象をまとめる作業」なのです。
「お客様が撮った写真」をどう考えるか
よくある相談に、
「スタッフやお客様が撮った写真、使えませんか?」
というものがあります。
もちろん、SNS投稿などでは充分に活躍します。
ただし、
・メニュー
・Webのメインビジュアル
・ポスター
といったお店の顔になる写真では、仕上げまで含めた設計が重要になります。
写真をレタッチで整えることはできますが、
最初から光と影を設計して撮った写真のようには残念ながら仕上がりません。

カメラマンより:
「レタッチは魔法じゃない。
でも、設計された写真を完成させる力はあります。」
まとめ:写真は「設計 → 演出 → 仕上げ」で完成する
料理写真は、
- 目的を考えて
- 光と影で雰囲気を作り
- 仕上げで世界観を整える
この流れがあって、はじめて「お店の写真」になります。
撮るだけでは終わらない。
仕上げまで含めて考えるから、
プロの写真は「揃い」「伝わり」「残る」ものになります。
お店の雰囲気も含めて、しっかりメニューやポスターを作りたい時、写真が果たす役割はとても大きなものになります。
気になる方はぜひご相談ください!
ではまた次回ですっ!













